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前号までのあらすじ
2003年2月、同級生で友人の森田祐和君が
悪性リンパ腫という癌を発病してしまう。
難病であることを知っている幡垣は国立・立川病院から
国立ガンセンターでの再検査をすすめる。

国立ガンセンターでの厳しい治療を克服した森田は
障害児の我が子のため家の改築をはかり、
更に子供用の車椅子をアジアへ送る、
ボランティア活動を計画する。

このことを打ち明けられた幡垣は
協力の意思を宣言、ホームページで
このことを公開、実行する現在進行形ドラマを制作する。

偶然の出会い

5月7日金ゴールデンウィークも終わった。
和菓子屋稼業に一日の休みはない。
森田君の物語をHPでアップして数日がたった。
読売新聞の記者には数日前メールで森田君の話を伝えた。

休みを取っていない、私の体はぐったりと疲れきっていた。
午後4時、一人の女性が店に来た。
どうやらお客さんではないようだ。
「こんにちわ、わたくしサンケイリビングの吉岡ともうします。
先日は幡垣さんの記事をリビングに掲載せて頂き
ありがとうございました。」

「こちらこそ大反響でお店も繁盛させていただき
御礼を言うのはこちらです・・・・・・」

と、いうような話で、本日の来訪は営業のため来られた様子でした。
タウン誌でお店を紹介していただいたこともあり、
話ぐらいは聞かなくてはと思い、作業場へ通し取り合えず椅子を出す私でした。

しばらくすると話の途中で電話が入る。
「はいもしもし茶の子です。」
「読売の記者のKSです。先日のメール見ました。
もう少し詳しくお聞かせ下さいませんか?」

仕方がないので一部始終、森田君の事を電話で話すことになってしまった。
かれこれ15分ぐらい話したかもしれない。
お客さんが来なかったのも幸いした。
しかし多摩リビングの吉岡さんはその間、ほったらかし状態だった。
電話を切り吉岡さんのもとへ戻る私
「すみません、大事な話だったものですから」
「いえ!大丈夫ですよ、気になさらないでください。
それより今の話、全部聞いていました。」

「そうですか、色々と大変な事情を抱えた友人がいましてね!
あれやこれやと、病気のくせに車いすが・・・・・・・というぐあいでして・・・・・」

「あの、幡垣さん実は私、この仕事とは別に、
こういう組織団体にも所属してまして・・・」

彼女は別の名刺を出してきたそこには八王子市民活動協議会
副会長、吉岡・・・と書いてありました。
市民協議会ってなんですか?
「森田さんが今、しようとしていることをサポートする団体なんですよ。」
「じゃ〜NPO見たいな団体なんですか?」
「NPOを立ち上げるお手伝いもサポートします。」

「ホントですか!」
目が点 (・・) になる私。
「車椅子東京から送っている団体もあると思いますよ」
「あるんだ、東京にも、車いすを京都まで運ぶことばかり
考えていた私は頭をトンカチで殴られたように目から
☆がでた、☆がでた、☆がでた(エコー)
嘘だろ!根本的に考えを変えないといかんでね〜の
それでサポートするって具体的に何をサポートするんですか?」

「たとえば車いすが今必要な国を調べて、実際に送っている団体を紹介したり
NPOを立ち上げるお手伝いをしたり、それにともなう手続きやアドバイスを
する団体なんです。
私自身もNPOの法人を一つ立ち上げてますし、
NPO認証数は1万6千あるんですよ!」

「そんなにあるんですか、NPOは!
ところでNPOってなんですか?
最近よく耳にする言葉ですが。なんか私のイメージでは
国際的活動ボランティア団体っていう感じがするんですが。」

「国内のことを中心にした活動、老人ホーム慰問などもありますし。
開発途上国の支援、たとえば学校、病院を建設したり、
人材を派遣したりとかさまざまです。」

「そうなんですか、とにかく驚きました。
まさか一本の電話からこの話につながるとは思いもよりませんでした。
これは神様が巡り合わせてくれたとしか思えない話ですよ吉岡さん
とにかくこのことを森田に伝えます。」

「私も八王子に戻りすぐに会長にお話しいたします。」

「一度そちらのアドレスで私にメール下さい。」

「分りました参考になる団体も調べてリンクも入れておきます。」

と言う具合に話は一時間余り続きました。
このお話、最初とは少し違う方向に
転じたようですが道が大きく開け前進したようです。
その日の夜8時過ぎ、吉岡さんから早速メールが来た。

八王子市民活動協議会 吉岡です。
早速、いただいた和菓子・・サンケイ・リビング新聞社で、またこちら支援センターで美味しくいただきました。
ご馳走様でした。柏餅・・柏の葉の香りが郷愁を誘います。
本当にありがとうございました。
素敵な出会いに感謝です。
八王子市民活動協議会運営の八王子市民活動支援センター
センター長 吉永、副センター長 竹田に、『アジアに車椅子を送る』のHP並びに
本日お伺いしたお話の内容を伝えました。
 
下記、取り急ぎ都内で主なNPO支援中間組織をご紹介します。
NPOサポートセンター、東京ボランティアセンター・市民活動センター
とIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)です。
IHOE 代表 川北秀人 E-mail・・・・・
NPO事業サポートセンター HP:http://npo-support.jp/
                               
東京ボランティアセンター HP:http://www.tvac.or.jp
                               
以上です。
 
また、カンボジアに学校を作った センター長 吉永の携帯番号は、090・・・・・・・・
いつでも相談してくださいとの事。
では、また・・・
 
吉岡
上記の内容を早速、森田君に転送!
5月21日森田祐和、八王子市民活動協議会で
代表吉永さんを筆頭に
吉岡さんを含めた数人のスタッフと話し合いが
初めて行われた。
森田君は八王子での話を早速、昭島の茶の子に立ち寄り、熱く語ってくれた。

森田
いや〜八王子に行ってきたよ!


幡垣
早速その帰りによってくれて、わるいな〜。

八王子にあんな団体があるのも知らなかったし
とにかく気持ちが熱い人たちの集まりだわ。
まこちゃんのおかげで、えらく早道になったみたいでホント感謝するよ。

最初は京都に送ることから始める話だったのに、
いきなり予想もしない展開になって
驚いてるよ、吉岡さんとの出会いも劇的で信じがたい話だし・・・
それで八王子での話はどうだったの?

子供用の車椅子をアジア、アフリカへ送ると言う発想が
凄く良いって褒めてくれた。

そうかヤッパもりっちゃんの発想は
切実な我が子との生活体験からでた発想だから
殆どそういった考えを持つ団体NPOはなかったと言うことか。
だいたいがさ〜、生活支援される側で支援しようなんて言う発想は
爆走森田以外誰もいないだろうが!

どうもそういうことらしいんだ。
だから東京で、色々と探したけど見つからなかったみたいだ。
それで散々ネットで検索してたら京都の中学校のHPにたどり着いたんだ。
今んなって良く考えて見ればNPOから検索していきゃ〜
良かったのかもしれないけど・・・

ま〜それが爆走森田の真骨頂でしょ!(笑)
それで話の続きは?

会長さんの吉永さんが深く興味をもって質問してきた。

どんな?
子供用の車いす、外国だけでなく国内で
リサイクルすることは考えなかったのかって。
俺は即答したね!国内では子供の場合、
車いす購入の際に補助金がでるので
あえて中古を買うことはないんです。

せめて本人にあった専用のものを
買ってあげたいと思うのが親心でしょうから、
どんどん不要の椅子が余っていくんですってキッパリ答えた。

言われてみればそうだと思うけど、すぐにその考えには結び付かないよな!
それからどうした?

先ず、車いすを必要としている国を探すことと、
協力団体NPOのルートを確保することが
先決な問題だって、スタッフ一同でその様に、おっしゃっていましたよ。
そのルートを探すのは八王子でサポートしてくれるって言ってくれた。

それからこの計画(企画)は成功するだろうって
お墨付きまで貰っちゃった。
がっはっはっ!
それは良かった。でも一つ疑問があるんだが・・・
それじゃ〜成功しない企画NPOも、
あるって言うことなの?

まこちゃん鋭い!
よく聞いてくれた。
善意とボランティア活動の落とし穴が存在するんだ。
開発途上国では全てのものが
不足しているだろうと思って
鉛筆、ノート、衣類(古着)その他バザーで
売れそうなものまで集めて
相手先の都合も聞かず送る準備をして
先方からお断りされてしまい、
国内でゴミの山になってしまうなんて
言うこともあるんだって。

なるほど、うんうん善意の押し売りは
ダメだって言うことか。
相手先で今、何が足りなくて困っているのか、
よく調べてから志を実行することがだいじなんだね!

そういうことらしいんだ。
その他の話では一度実績を創ることは
大事な一歩になるけれど
単発で終わらせないようNPOを
設立する準備も進めなさいって言ってくれた。

俺もあと何年生きられるか分らないから、
しんじまっても続くようにNPOを設立しますよって
キッパリ言ったよ、まこちゃん。

エ〜ライッ!

さすが爆走するね〜もりっちゃんは、がっはっはっ!

大体が商売は傾いちゃって、客はこねえし
ボケッとしてたらしんじまいそうだ!
半分やけくそ人生だからよ、がっはっはっは・・・・

ホントだよな、がっはっはっはっは・・・・


と、言うような話をしながら二人は
本当に大笑いを実際良くいたします。
同級生の友人達は不思議がります。
何で突っ込みの二人が話をして
喧嘩にならねいのかって!

森田君は自分自身が難病であり、
今生きることが人生の闘いだと言っています。
しかし闘いの日々だけでは
物足りなくこんな自分だから出来る
何かがあるとも言っていました。
何かとは生きてきた証を残すことだと
私は思いました。

私は我が子を通して、彼の気持ちが
痛いほど分る境遇にあり、
お互いに世の中のために捧げる
覚悟が出来た、二人なのかもしれません。

時空を爆走する彼の思いが伝わってきた
40分の会話でした。

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